炎天下でスポーツをさせる理由を教えてください。

2017年7月27日


傲慢との非難を覚悟で、しかし命の叫びとして「目を覚ませ」と叫ばせて戴きます。
 
熱中症そのものが昔はなかった、ということはないかもしれません。しかし、高湿度の風土の中で、より高温になれば、その危険が増し、生命すら奪うということが分かっています。かつてはフェーン現象のために一時的な超高温が発生していましたが、いまやヒートアイランド現象の中でアスファルトや冷房機器の反動などのせいもあり、都市部での超高温がむしろ日常的にすらなってきています。
 
もう半世紀前とは気候や環境が違うのです。
 
この猛暑の中、そして生命の危険をもたらす高湿度の中、相変わらず中高生を初めとしたスポーツ大会が行われます。大会のための猛練習があり、夏休みも休みなく朝から晩まで(はさすがに少ないかもしれませんが)運動部は練習を続けています。
 
お尋ねします。いったいそれは何故ですか。大会はこの休みの時期しかできないからですか。だとしても、こうも熱中症で倒れ、時に死者も出ているという報道が続く中、誰もそれを危険だと見なさないのはどうしてですか。
 
よほど大きな事態だけが報道されているわけで、誰かが倒れたとか、気を失ったとかいうのは、日常茶飯事ではないのですか。倒れなくても、脱水になったりくたくたでもう家で寝ているばかりということは起こっていないのですか。
 
天気予報のサイトを開くと、熱中症指数というのが出ています。連日「厳重警戒」や「危険」が出ています。前者には「炎天下は避けてください」、後者には「今日は涼しい室内で」と書かれてあります。この警告を、中高生には適用していませんね。それでよいのですか。
 
災害のときに、「直ちに逃げてください」を「まあそんなに焦らんでもええやろ」と聞くのと同じではないのでしょうか。あの津波のとき、その怖さを私たちは学んだはずではなかったのでしようか。警告を警告として聞かないというのは、人間の性だとは思います。聖書はそういうことが綴られていると思います。でも、心ある人が、「危ない」と繰り返しているのに、それをなんとも思わない姿を、お感じになりませんか。エゼキエル書に学ぶように、警告を与える人はいませんか。いなければ私がここに、それをやりたい。
 
学校で「いじめ」が問題に挙がると、決まって「いのちを大切に」というキャッチフレーズが教育者やお偉いお役人の口から出てきます。その学校が、「危険」な熱中症指数の下で、炎天下のスポーツをさせ続け、試合で勝てと鼓舞しています。それ、「いのちを大切に」していると言えるのですか。矛盾を感じないのでしょうか。
 
目を覚ましませんか。危険は危険。いやそうはいっても、と無理にさせるなら、せめて「いのちを大切にはしないこともある」と本音を言えばよいのです。欺瞞だと、気づきませんか。目を覚ましませんか。
 
それとも、スポーツとか根性とか鍛錬とか、あるいはへたをすると教育とかいう名前の神に、若者の命を犠牲に献げているとでも言うのでしょうか。
 
村を守るためには、毎年人身御供が必要です。どこかで、誰かが犠牲になっています。甲子園球児を美化していますが、あれはもう、コロセウムで野獣と人とを闘わせて昂奮しているローマ市民と、どこが違うのか、私には分かりません。日本でほぼ最高気温を続けるような阪神地域で、すり鉢状の土の上で、長袖長ズボンで二時間走り回らせる大人たちが囲んで声援を送ります。それを栄誉と張り切る闘士たちがいます。こうした姿のどこがコロセウムと違うのか、私には分からないのです。
 
もちろん、スポーツにやり甲斐を感じている子もいるでしょう。困難を越えて逞しくなるというのも事実で、甘やかさないでいることが重要であることも分かります。目標に向かって努力するとかチームワークを育むとか、スポーツのすばらしさを否定するつもりは全くありません。問題は、「危険」と一方で認識しているはずなのに、「やれ」と強制しているところです(部活に強制はない、などという政治家のような建前は不要です)。それとも、「危険」という警告が嘘だというのでしょうか。
 
昔とは気候が変わってきている、と気象予報士はいつも言っています。そのことと、昔と同じように炎天下でスポーツをさせる教育者、そしてその親たち(そういう目で見れば東京オリンピックがどうして真夏なのかも理解できません)。皆「いのち」が大切だ、「いのち」を守りましょう、と言っています。ほんとうにそう思っていますか。おかしくありませんか。おかしいと思う心があるのならば、目を覚ましませんか。「目を覚ましていなさい」と言った方の言葉は、ここには届かないのでしょうか。
 
次の犠牲者は、あなたの大切な家族かもしれません。

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