本

『若者はなぜモノを買わないのか』

ホンとの本

『若者はなぜモノを買わないのか』
堀好伸
青春出版社(青春新書)
\890+
2016.10.

 これはなかなか面白かった。ビジネスプロデューサーとしての経験から、若者たちを市場に考えるときのノウハウを紹介してくれた。
 アダルトならずとも、よく理解できないことについては、何か説明を施して安心したい心理があるものだ。若者たちがモノをさして買わないというのは、経済の中では頭の痛い事実であるというが、それをさも尤もらしい背景理由で説明するのが、大人たちのビジネス番組や週刊誌というものの仕事のようである。が、それで分かったつもりになるというのはたいへん危ないことなのであって、当の若者世代からすると、分かっちゃいないし、決めつけないでくれ、ということになりかねない。見当違いも甚だしい、と嗤われているのかもしれない。
 そうすると、この本も嗤われている可能性がある。しかしそれを臆せず、言い切ってしまうところに、ひとつの味がある。ともあれ、26歳以下の人々と直に触れあって話を聞き、いろいろ調査をしているという強みはある。大人たちが常識としていることについて、如何にそれが特殊なものであるのか、つまり世代が違うときに全く別の発送をしているのか、ということを、本書一冊だけでも、嫌と言うほど味わうことになる。
 そもそも若者がモノを買わないというふうに片づけることが間違いであることから本書は始まる。ということはつまり、疑問形で人の関心を誘うようにしたありがちなこのタイトルそのものがいきなり否定されるような恰好になるわけで、読者の期待をいきなり裏切るところから始まるのであり、これはなかなかの冒険である。
 ある意味で買わないのだが、どん、と買うときもある。つまり、買うか買わないかの基準が、アダルト世代と違うのである。その心理や状況を、様々な実例で紹介していくという手法で、本書は展開していく。
 それで、今買うのはどんなものであるのか。これが大人たちは知りたい。様々な若者の風景の切り取りをすることによって、どんなものが見えてくるのか、これは著者の意図はあるものの、読者が考えていきたいものである。
 若者は今までの大人の常識で売っても買いはしない。そこで新たなビジネスチャンスが生まれる。そんなヒントは、さて、ビジネスに活かせるだろうか。いや、私は商売に限らず活かせると思った。教会に対して若者がどう感じ、どう行動するのか、ということは、もちろん金の問題ではない。しかし、若い世代が世界をどのように見ているのか、感じているのか、ということは、大いに関心がある。若い人々はこうだろう、と安易に予想することが如何に間違っているかを思い知るというのも、むしろ歓迎すべき体験となりうるのである。
 最後に、新しい売り方が提案される。果たしてどこまで本音をさらけ出しているかは分からないが、読者が、ビジネスならずとも、それぞれ若い世代に受け容れられるようにするために、ヒントにしたいことがたくさん並んでいると言えることと思う。そこで私も、これらのヒントをこれからノートしてみたいと思っている。そこから先、各自の関心に従ってこれを活かすというのは、それぞれの責任であり、功績となるであろうから。




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