本

『基本から学びたい人のための英語ライティング・クリニック初級編』

ホンとの本

『基本から学びたい人のための英語ライティング・クリニック初級編』
鬼塚幹彦
研究社
\1260
2007.11

 インターネットスクール「あすなろオンライン」での特別企画「英作文クラブ」のネット上の解説を元にして、本書が生まれたという。
 英作文の解説本というと、日本語と模範解答が並んでいて、さも当然であるかのように、英熟語やイディオムが掲げられ、これはこういうのだ、と宣言されているのが通例であった。あるいは、(  )の中に何を入れるか、というクイズが並んでいる程度であった。
 だが、私たちは、大学受験というただの目的だけならいざ知らず、英語で「伝えよう」とするときに、何で苦労しているだろうか。まずは、冠詞である。a なのか the なのか、付かないのか。また、いわゆる英作文の問題ですといった感じの日本語ではなくて、自分の心に浮かんだある状況や考えの説明である。それが、英語の何という表現と結びつくのか、が分からない。いや、もっと以前に、主語を何にするとよいのか、時制はどうするのか、そのあたりで全く自信がない、というのが正直なところではないだろうか。
 そこで、模範解答ではなく、ついやってしまいがちな誤りや、不適切な発想を連ねていく、という方法がとられた。ネットを通じてたくさんの答案を集めたがゆえの成果であるかもしれないが、これが実に心に響く。その悪例とともに、正しい語法や考え方の原則が、ポイントとして与えられていくのも、よい学習法である。それは、系統的だとはいえないが、自分が伝えたい何かをどうするか、ひとつひとつ心の扉が開かれていくような思いである。また、そのとき開かれる扉は必ずしもひとつではない。ああそうか、だからあの語もこうなるのか、と、様々な表現に光が射してくるような思いがするのである。
 この初級編では、第4文型と第5文型に始まり、完了形や仮定法といった、文法的にもやや高度なことが取り扱われている。だがそれらは、結局私たちが何かを言いたいというときの要であるともいえる。
 図書館で借りた私は、これを手元に置いて学習したいと思った。それで書店を探したが、どういうわけか見当たらない。これは、そこらに置いたら売れると思うのですが、どうしてなんだろう。




Takapan
ホンとの本にもどります たかぱんワイドのトップページにもどります






 
inserted by FC2 system