本

『検証・ウィニー情報流出対策』

ホンとの本

『検証・ウィニー情報流出対策』
アスキー書籍編集部編
アスキー
\840
2006.6

 どだいウィニーを自分で試したいような欲求はなく、興味もなかった。だが、たとえば鳥インフルエンザが流行しているというニュースが、自分とは関係がない、で済まされはしないであろうように、ウィニーの情報流出というものが、自分にも関係が起こることが、まず指摘された。
 つまり「セキュリティ知識と意識の高い利用者でない友人が、ウィニーを使っているならば、私の写真を撮影してもらうことも、私のメールアドレスを知らせることも、やめよ」というのである。
 それは、私がネット上に出回ることになるからだ。
 たしかに、ウィニーに限らず、デジタル情報の流出ということは、思いも掛けぬ人々が被害者となる。学校の教師のノートパソコンが盗難に遭い、児童の個人情報が出て行くとか、車に置いていた通知票や成績表が盗まれるというニュースは、もはや日常茶飯事となっている。
 安全意識の低い者が機密情報を握るのは、恐ろしいことである。その被害者は、情報を提供した大量の素直な人々なのである。漏らした者その人は、何の痛みも覚えない。特定された場合に社会的な罰則を与えられる程度である。
 この本には、ファイル共有システムとしてのウィニーを中心に、コンピュータネットワークにおける安全確保のための、実に具体的な手段が講じられている。たんにノウハウという意味ではない。情報管理の考え方が十分に解かれ、何が危ないのか、何故いけないのか、などが、説得力をもって語られ続ける。
 薄い本なので、一息に(というのは大袈裟かもしれないが)読める。読んで、それを実行するだけで、私たちの安心度は増す。
 あるいは、すでに各地に知らせてしまった自分のメールアドレスや住所などの情報の行方に、不安を感じて仕方がなくなるのであろうか。
 改めて思う。「自分一人くらい、大丈夫だろう」が、いかに甘いか。すでに、自分一人の意識の低さが、全世界に他人の個人情報をばらまき、しかも、取り返しがつかないことにしてしまう時代なのである。
 そう。これは、取り返しがつかない。だのに、連日のようにウィニーの文字が新聞紙上に見受けられている。パソコンを使いこなす、「頭の良い」人々たちのせいで。




Takapan
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