本

『インターネットは誰のものか』

ホンとの本

『インターネットは誰のものか』
谷脇康彦
日経BP社
\1890
2007.7

 総務省の役人で、インターネットのブロードバンド競争を司る人の著書である。まだ比較的若い人らしい。こういう本が個人的に出せるのだというのも驚きだが、説明が官僚的な臭いに包まれることなく、淡々とビジネス調に解かれていくのも新鮮に感じられた。
 それでも専門用語や、素人が知り得ない内部事情がさかんに語られるために、よく分からない部分も少なからずあった。ただ、助け合いを原理として発展していくインターネットの世界が、商業原理を交えて複雑な事態に陥っていることが明らかにされると共に、助け合いを基盤としたあり方をもっと解決策の中心に置けないか、という方向性は感じることができた。
 とはいえ、そこは役人らしく、明確に、こうすればいい、という思い切った案を振りまくこともなく、善処したいふうに聞こえるのは、仕方のないところだろうか。
 本も高価で、読むのに一苦労あるわりには、内容そのものは単純なものであると言える。もっと小冊子にまとめて販売すれば、あるいは新書として売り出せば、重要なオピニオンとして取り上げられる機会が増したのではないか、とも思う。
 様々な事情を全部網羅しようとするあまり、やたら具体例の厚みが増しただけではないか、とも感じられたからである。ただなんとなく利用していればそれでいい、というユーザーも多いであろうから、ときには、こんなことも考えてみよう、と思わせるような素材を提供してくれれば、ありがたかった。




Takapan
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