本

『「伝える」技術ルール10』

ホンとの本

『「伝える」技術ルール10』
藤沢晃治
講談社
\999
2006.10

 ノウハウ本を好むつもりはないが、ほとんど労力なしに目を通すことができるせいか、つい覗いてしまう。
 比較的大きな本で、薄いとはいえ、1000円なら妥当というところか。図解中心なだけに、事実読みやすい。頭を使わずに理解できるようだ。
 いや、それというのも、私が日々「伝える」ことを職業としているせいであるかもしれない。ここには、経験的に私が身につけているようなことが、整理されてまとめてあるだけである。いや、それは言い過ぎかもしれない。これだけにまとめあげることそのものが、尊いのだ。経験的な感覚は、このように整理されているわけではない。
 図解と共に、見出しや豊富な具体例により、この本そのものが、「伝える」ことに徹している。さすがに、この本自体が何を言っているか分からないような本であれば、内容をが振り向いてもらえはしないだろう。本文もいわば二色ではあるが、効果的にそれらを用いて、ポイントをつかみやすいようにしている。分かりやすいのでなければ、この本自体意義がなくなるであろう。
 すでに、講談社ブルーバックスで、分かりやすく伝えるための技術として3冊の本をまとめている著者である。それがここに、図解化されてまとめあげられているという理解でよろしいかと思う。
 やや最初のほうのクイズがクドいか、と思われたが、それは私が曲がりなりにもいくらかのデザインなどを心得ているからであって、一般の方がひょいと覗くなら、このクイズがやたら面白く感じられるのではないかと思う。その意味でも、本のつくりが、巧い。
 さて、自分の考えを「伝える」というのは、これからの時代にますます重要視されていく技術であろうかと思われる。大いに啓発してほしい内容である。
 と同時に、他人の意見をよく「聞き入れる」ことは、それに先だって重要である。
 いずれにしても、子どもたちにはだんだん困難になっていく課題であると言えることだろう。大人だって、安穏としてはいられない。もう一度、自らに問い直してみよう。自分は○○に物事を伝えることができているかどうか。




Takapan
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