本

『小学生ママの しんぱい百科 家庭編』

ホンとの本

『小学生ママの しんぱい百科 家庭編』
成田奈緒子
小学館
\987
2007.3

 優しい本である。世のお母さん方の中には、子どものことで自分を過度に責める方がいる。そうした人々の不安をそぎ落とすことに全力を尽くしているような本である。いや、もちろんそれは、その子自身の心をも、立ち上がらせることになるわけで、大きな愛を感じる。
 小児科医であり、大学職員であり、子どもの発達に関する仕事にも関わるなど、精力的な活動をしている著者である。雑誌『edu』の連載をまとめたような本であり、相談内容はこの本だけに留まることがない。
 時折四コママンガを取り入れて、理解を助けており、構成もなかなかよいと感じた。
 不安と安心の理由を、脳内物質セロトニンの問題に還元する考え方がとられている。ある意味で、これは救いである。本人の心そのものの問題とか、場合によっては先祖の霊魂だとかに基づかせて考えるところに、歪みや絶望が混じり込んでくることになるのだが、それを退け、どこか唯物的に処理することで、不安は必ず解消される、という論理をとるのである。
 セロトニンが増えると、安心感が増すのだそうだ。そのためには、規則正しい生活習慣をとり、食生活が偏らないようにし、朝日を浴び、運動をし、頑張りすぎないようにしていわゆるストレスを溜め込まないようにするとよい、という。
 唯物的な解決を図るとは言いながら、私たちの生活のあり方を見直すという点に解決を求めているので、対処しやすい面があるかもしれない。
 まずは「家庭編」であるから、個人的な性向などについての言及でよいのであるが、次に、子どもたちと他の友だちとの関わりなどの悩みも、出てくるであろう。この本の中にも少し触れられているが、さらに多くの若いママさんたちの悩みにも答えていってあげて戴きたいと願う。ただし、そうなると、セロトニンだけで説明していくことは難しくなるので、どんな切り口になっていくのか、楽しみでもある。




Takapan
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