本

『聖職 (日本版インタープリテイション)』

ホンとの本

『聖職 (日本版インタープリテイション)』
ATD・NTD聖書註解刊行会
\2000+
2009.10.

 へたな私の説明よりは、インタープリテイションのサイトの紹介をまず引用しよう。「『日本版 インタープリテイション』は北米で50年以上の伝統を誇るINTERPRETATION 誌の日本語訳です。聖書学をはじめ、神学、キリスト教思想・文化にまつわる研究の最先端を日本語でお届けしています。年に四冊刊行されるそれぞれの号には常にひとつのテーマが設定されており、そのテーマに沿って専門家が牧会の現場を意識した議論を展開してくれています。司牧者の方々だけでなく、一般書に飽き足らない方、専門書には手が出ないという方にもお勧め致します。」
 聖公会出版の、価格からすると高級な雑誌である。関心はあったが、その価格が私の手を止めていた。ところが、あるルートで、(あまり大きな声では言えないが)安価で入手できる場合があることを知り、これはいいではないか、と購入することがあった。やや古いものだと、相当な安さで買えた。今回のものは、500円であった。これなら、私の財布に十分見合う。
 本格的な論文である。読み応えがある。しかし、何かしら揚げ足を取るほどに隅々をほじくり出すような研究が紹介されているわけではない。ひとつの説教として通用するほどに、熱い思いがこめられたメッセージのようでもあることが多い。取り上げる箇所は狭いけれども、だからこそ、充実した解釈があり、またそのための客観的な根拠が提示される。その上で、訴えるものがある、というわけだ。
 今回は「聖職」ということで、いわば召命の問題である。改めて、祭司とは何かということを問われると、答えに窮するような気がした。また、エレミヤを通して、神が呼びかけて選び出したときの情景を適切に描き出す試みがなされ、とくに共同体の中でのエレミヤの立場が探究されていた点は興味深かった。
 また、イエス自身、ついて来なさい、と呼びかけている。この言葉に、献身を決めた伝道者も多いことだろう。ずばり牧師への召命については、神の言葉による招きと、神の言葉を告げていく側になることの経緯を、会衆からも聴くような段階を経て説かれているように見えた。
 その他、聖書のある一箇所への徹底した眼差しを説き明かすコーナーも毎号掲載されており、勉強になる。どのように聖書に対し、読んでいくのか、教えられる。ハードな印象ではあるが、少し慣れてくると、実に味わい深い雑誌である。毎号買うのも無理だが、機会があれば手にとって目を通したいと思わされるシリーズであると思う。




Takapan
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