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『超初心者のためのサイバーセキュリティ入門』

ホンとの本

『超初心者のためのサイバーセキュリティ入門』
齋藤ウィリアム浩幸
文春新書1097
\800+
2016.10.

 コンピュータのネットワークには危険がたくさんある。だが、どんなニュースが流れても、他人事のように見ている。交通事故のニュースを他人事だと思うのと、ちょうど同じだ。ましてコンピュータとなると、自分のような者が狙われるはずがない、とまで思いがちなので、よけいに具合が悪い。いや、これは他人事ではなく、私もまたそうだ。
 タイトルに「超初心者」とあるのは販売を考えてのことかもしれず、また、実際そうとうに知識のない人々をターゲットにしているという意味であるかもしれないが、好意的に解釈すると、これは、専門的なコンピュータ用語をできる限り排除した形で、通常の利用者すべてに伝えたいという思いからのものであるということになる。メカニズムを説明することが目的ではない。どうにかして、現実にある危険性とその原因を具体的に教えようとするものである。だから、日常的なコンピュータ使用のときの診断もするし、それがどんな危険な意味をもつのかを喩えを用いて知らせる。そして、もしこれでも理解してくれないならば、その人はもう自己責任で自分の陥った危険に対処するしかない、ということになるだろう。
 その内容を具体的にここで明かすことはできない。どうぞこの本をお読み戴きたい。
 では、実際にどのような使い方をすれば安全なのだろうか。こうすれば大丈夫という決まりはない。どうやったって、危険性は伴う。回線を切っていたところで、拾ったUSBを挿入すればウィルス感染をするのである。ただし、切ってあればさしあたりそれを他人に感染させることは避けることくらいならできるだろうが、自分のデータはすべて犠牲になることを覚悟しなければならない。要するに、感染とは何か、どんな危険があるのかをはっきりと知ることが肝要なのである。
 絶対に安全とは言えないが、相対的に安全に近い方法はもちろんある。それは家のセキュリティも同じだ。交通事故に対する対処法も同じだ。可能な限り安全でありたい。わざわざ危険なことをする必要はない。ただ、具体的にどうすればよいのか。その知恵が、パソコンを使うという程度の誰にでも分かる書き方をする、それがなかなか難しいことだろうと思うのだ。それをこの本は実現した。あるいは、実現しようと挑戦している。果たしてそれが成功したのかどうか、それは読者が判断することだ。私は、かなりうまくやってくれたのではないかと考えている。
 では、まずカメラアイをテープで塞ぎましょうか。




Takapan
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