本

『そうか! 算数ってこんなにおもしろかったんだ!』

ホンとの本

『そうか! 算数ってこんなにおもしろかったんだ!』
秋山仁監修
主婦と生活社
\1365
2006.7

 秋山仁をご存じない方は、ぜひ何らかの形でお調べください。それだけの価値があると思う。NHKをはじめ、テレビにもよく出演しているので、ごらんになったことがある方も少なくないことだろう。
 その秋山仁が直接書き下ろしたというものではないが、彼がよく訴える算数の面白さは、よく表れている。これまでにも、子ども向けに、算数的考え方を育てる楽しいクイズを、本やテレビ番組などで紹介してきた。
 これは私の考えだが、「考えること」が「面白い」と言えるのでなければ、教育は死んだものになっているかもしれない。算数は、純粋に、その「思考」そのものだけで考えを進めることができる舞台である。頭を使うことを鍛える算数や数学が、人生に役に立たないはずは、ないのである。まるで、食事をとることが、命を保つために役立つのが当たり前であるかのように。
 この本には、深い理論は説明されていない。どうしてだろう、不思議だなあ、で終わる部分もある。その意味で、小学生が楽しむには相応しいと言えるし、ここからまたその先を探求してみる楽しみも残されている。しかしたとえば、ハノイの塔の説明では、最短手順を知る手だてが載せられていない。それなのに、挑戦問題としての中学入試問題においては、その最短手順の式が解答に示されているので、本を読んだ人には、訳が分からないものとなっている。編集方法への課題であろう。
 職業柄申し上げるが、進学塾で、難関校のための中学受験を指導している算数の先生で、この本に書かれてある内容を殆どすべて自分の血や肉としていない方がもしいらしたら、よろしくないと思う。考える愉しみを味わうクイズであるから、という意味もあるが、そもそもが、ここにある内容は、ちゃんと入試突破のために役立つものばかりであるからだ。算数の先生がこれらの内容を、いついかなる場面でも子どもたちに紹介できるように身につけておくならば、きっと算数は、ずいぶん魅力あるものとして、子どもたちの思考力を育んでいくことに貢献できるものと信じている。




Takapan
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