本

『デジカメの撮り方』

ホンとの本

『デジカメの撮り方』
大浦タケシ監修
池田書店
\1680
2010.1

 デジカメの扱い方、撮影の仕方についてもいろいろな本が出ているが、女性ウケするのだろうが、可愛く撮るとか感性を大切にするとか、魅力的なものもたくさんある。しかしまた、冷静に、こうした撮影をすればよくなる、という理論的・原理的な撮影の仕方もあるだろう。どちらかというと、男性はそうした解説を好むのではないか。
 そこで、この本はこういうタイプだと言ってよいだろうと思う。だが、写真やカメラの仕組みについてとことん詳しい知識を要するというほどのものでもないことは伝えておくべきだろう。つまり、基礎的な知識について、丁寧に優しく解説してくれている、ということである。それでいて、具体的に、どういうモードでどういう条件で撮影するとそのように撮れるのか、というデータも公開されており、その設定に従えば自分も試してみることができるようになっている。なかなか親切な設計である。
 そして第一、右のページにある、成功的な撮影例というのが、実によい写真なのである。時にNGの写真と並べられており、その違いは歴然としている。それらはほんのちょっとした違いなのである。ほんの少し、ありがちな撮り方を脱して、ある点に気をつけて撮影すれば、なんと素敵な写真に変身することか、それを目の前に歴然と見せつけられて驚くのである。
 初心者には実に適した本だと思う。こういう親切なつくりかたをしてあるデジカメ撮影法というのは、さほど多くないように思うのだ。
 あらゆる状況が想定されている。私たちがいろいろ写真を撮ろうと思うときの、様々な状況が考えられており、そこでどのような点に少しだけでも気をまわせば写真が全く違う良いものになるか、という様子を示すことが、この本のコンセプトであるように見える。ほんとうに、ほんのちょっとしたことなのだ。そして、写真を撮り慣れている人、さらに言えばプロは、こうしたことを常識として心得て撮影しているのだ。
 たとえば、ごちそうを美味しそうに撮影するためには、光の加減や構図について、このように並べて、という知識がある。素人は皿を全部入れ料理を全部説明しようとして、真上から全部の皿を入れて撮影しようとする。プロは皿を途中で切ることも厭わず、そして逆光めいた撮り方をする。さらに油を塗って輝かせることまでするという。
 このような知恵を授けてくれるのが、この本である。
 これだけの内容、厚さ、丁寧さやカラー版に徹しておりなおかつ質の良い製本などについて考えると、この値段は格安であると感じる。類書の中でも、私はこれを強くお勧めしようと思う。




Takapan
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