本

『必要なことはただ一つ: 〜多元社会を生きる教会の役割〜 』

ホンとの本

『必要なことはただ一つ: 〜多元社会を生きる教会の役割〜 』
齋藤真行
kindle
\309
2014.4.

 kindleにおいてのみ販売されている、若い牧師の熱意に満ちた著作。幾多の著作をこの形で公開しているが、これは、日本のキリスト教伝道を考えるための三部作の第一弾と位置づけられている。
 伝道への熱意が強く感じられ、また、ここに神学的に深められた考察は期待できないかもしれないが、聖書に基づき、現場で神の言葉を活き働かせようという信仰の力を表しているように思われてならなかった。
 この書では、教会が、伝道のために何を必要としているか、ということがテーマである。そのためには、むしろ否定的に、教会のすべきことは何「でないか」をたくさん並べている。
 同じような口調で、展開そのものも比較的単調なので、本を読み慣れた人からすれば、くどい印象を受けるかもしれないが、たとえば教会でのメッセージであれば、こうした口調でこうしたスタイルであるというのは、かなり聞きやすいものとなる。いろいろ言う前に、本書の内容を味わったほうが、読者としても得になるであろう。
 教会は、企業・カウンセリングルーム・政府・福祉施設・学校ではない、ということを言うためにたくさんの事例を並べ、それでは教会は成長しない、教会の生命は続いていかない、という牧会的配慮を述べていく。
 結局、「聖書の語る三位一体の神への礼拝を捧げ続けている」ことが教会の教会たるゆえんであるのだという。そしてその教会は、人との交わりを生かす場でもあり、自己中心的な考えからの解放にもつながるのだという。また、讃美歌を歌うという行為の中で、私たちの祈りが育まれていく実践的な営みが語られ、そこから初めて、隣人愛などの形が現れてくるのだともいう。そしてこれを成し遂げるのは、究極的に、礼拝なのであるという。
 教会には、礼拝が中心であるべきであり、そこからすべての始まりが起こる。当たり前と言えば当たり前なのであるが、私は、これを肝に据えておかないと、人間は、よかれて思ってどんどん道が逸れていくものであると知っている。心して、この警告めいた指摘を受けとるべきである。
 こうして、三部構成の第一部が終わる。




Takapan
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