『形から引ける音楽記号辞典』

『形から引ける音楽記号辞典』
ヤマハミュージックメディア
\1680
2007.1

「ありそうでなかった」とタイトルの冠に付いているだけあって、どっきりした。実際、こういうのが、欲しかったのだ。
　音楽記号。分かりそうで、分からない。小事典は、昔のだが持っている。しかし、読めなければ、引けない。楽譜の中にある、たんなる記号は、どう読んでよいのか、分からないものがある。その意味は、調べようがないのだ。
　それを調べるのに、実に好都合な本が、ここにできた。
　意味も、懇切丁寧に記してある。分からないときには、これですべて解決すると言ってよい。
　しかも、コラムが面白い。すべての記号に付せられているわけではないが、音楽好きな人の心をくすぐるような、楽しい話題がふんだんに紹介されている。原語の意味から、それを効果的に用いた名曲、あるいはこぼれ話など、頁単位でゆったり丁寧に書かれた説明の隙間に、うまく埋め込まれている。
　教会で、ちょっとした合唱譜で聖歌隊を営むとなれば、ここにある記号の説明で初めて分かるような意味もあることだろう。これは実に便利だ。