本

『ネットいじめ』

ホンとの本

『ネットいじめ』
ロビン・マッケカーン
上田勢子訳・桑田木綿子絵
大月書店
\2100
2009.3

 図書館仕様とでもいうのか、薄いがしっかりガードの堅い本である。子どもが少々乱暴に扱ってもへこたれないつくりの本となっている。
 サブタイトルに「エスカレートしないために」とあり、そもそもこのシリーズが「学校のトラブル解決シリーズ」となっている。その第六巻である。
 現代には、「Cyberbullying」という文字が見える。サイバーいじめ、ということであるが、日本ではこのタイトルのように、ネットいじめが分かりやすいだろう。これが開くページ開くページに繰り返される。それは、理論的に書かれているというよりも、非常に実際的に書いてある。まるで、心当たりのある子どもが、次第に良心の呵責を覚えるようなコースに導かれていくような方法である。
 このように、「気づき」を求めるというのは、一つの策である。特に子どものように、それを立ち直らせることを第一として指導したい場合には、自信が気づいていくことが肝要である。その点、大人のように頑なにならない場合が多く、気づかせるというのは有効な手段の一つとなるだろう。
 著者は元々カナダで、こうした青少年のネット犯罪を専門としている、警察の方だそうだ。ネット活動における留意点など、これまで見出してきたことがよく整理され、明らかにされている。これを、日本でイラストを付し、より親しみやすいようにした。子どもが気軽に手にとって、そこで感化されていくことを期待したいものである。
 ただ、日本では、より携帯電話、ケータイメールにおける「ネットいじめ」が進展しているのではないか、とも思われる。もちろん、ここにはその点も含めて記してある。しかし、ケータイにはケータイ独自のやり方や気をつけることがありはしないだろうか。そのあたり、日本において、同様に青少年をサイバーいじめから守るための専門職が欲しい。また、すでにいるのであれば、その成果を世に表してほしい。
 学校の図書館向けの本である。学校でのグループ研究の発表や、何かと危険から身を守るために、あるいは自分が加害者として人に危険を与えることにならないように、どんどん活用してほしいものである。




Takapan
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