本

『なるほど! くすりの原料としくみ』

ホンとの本

『なるほど! くすりの原料としくみ』
岡希太郎・加藤哲太
素朴社
\1800+
2007.3.

 子どものための、図書館向けの装丁の薄手のしっかりした本である。絵本的なものであるが、実に内容がいい。「知の森絵本」というシリーズらしい。
 必ずしも商売向けというものでなく、図書館仕様で子どもたちに適切な知識を伝えようという意図で作られているために、質がよいのだろうか。「基礎知識と正しい使い方」というサブタイトルもあり、内容は多岐にわたっている。薬理学の先生が監修しており、正確さも信頼がおける。
 まずは歴史。薬は歴史の中でどういうものから始まり、またどのように受け継がれてきたか。簡潔に伝えるだけに、中心部をズバリと記す。それから、薬のために尽力した偉大な人物を幾人か挙げる。これも絞りに絞った六人であるが、興味をもてばここからまた調べが拡がっていくことだろう。
 薬はどのようにして作られるか。また、薬にはいろいろな形があり、呑み方があるが、どういう意味があるのか。また、薬によっては吸収の仕方が異なるが、どういう利点があるのか。飲み薬は肝臓を通過するので、毒素が抜かれる恐れがあるが、座薬だと肝臓を経過しないために薬効が異なるというのは、説明されればなるほどそのとおりなのだが、素人として私には驚きだった。
 薬の作用と副作用。その境界はどこにあるのか。また、その副作用から思わぬ薬効が分かり新たな薬が登場する機会にもなるというのは、実際にあることなのだと知った。
 ここからは各論で、様々な薬の違いが細かく説明されていく。同じ薬と言っても、胃腸薬と心臓薬とでは当然役割が違うのだが、ではどのように違うのか、そんなことが、子どもにも分かるように丁寧に書かれている。そもそも薬とは何をどうすることなのか、それはまさに薬により様々違うのである。そんな当たり前のことも、改めて学ばなければ、知らないと言えば知らないのである。
 最後に、麻薬や覚醒剤といった薬物乱用の問題があり、また、薬の呑み方という、分かりきったようなことが説明される。いや、私たちおとなもそれを理解していないということに愕然とする。外用薬でも、使い方という点では、多くの大人は失格であることが分かる。私なども恥ずかしい限りである。衛生の点と、効き目という点で、知識がなければ本当にいけないということを教えられる。
 まことに、衛生は知識だと言われる。いわゆる途上国への援助においても、衛生の問題があるという。都市計画にも、日常生活にも、衛生への配慮が必要で、伝染病の予防や食中毒の防止にもつながるわけで、知は力であるのだ。私もまた、その点でまずいやり方をしているということが鮮明にもなり、改めて学ぶことの意義を感じた。
 子どものための本は偉大である。図書館で、大きくて丈夫な本は、おとなにはすぐに読める。こうしたところて知識を得た上で、また大人らしい本に目を向けていくのがよいのではないだろうか。こうすると、容易に新たな知識の基礎が身につき、またそこから次の世界が拡がっていく。
 勉強になること請け合いである。




Takapan
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