本

『クラゲのふしぎ』

ホンとの本

『クラゲのふしぎ』
ジェーフィッシュ著・久保田信+上野俊士郎監修
技術評論社
\1659
2006.9

 クラゲがプランクトンであるとか、ベニクラゲが永遠の命をもっている、というふうな説明には、ただただ驚くばかりである。
 癒しを与えてくれるような観点から、近年クラゲの人気は高まっている。
 我が家にも、クラゲになりたい、という人が1人いる。
 テレビなどでも、クラゲのことが紹介されることがある。問題は、あのエチゼンクラゲである。これは産業をも危機に陥れるし、容易に大群を捕獲することもできない。できても、その後どのようにするか、という点で、必ずしも明らかではない面が多い。
 考えてみれば、クラゲは実に神秘的だ。眼のあるクラゲはあるというが、脳はないので、どのように視覚信号が処理されているのかは、分からないという。日本にも数百種類のクラゲがいるそうで、クラゲの宝庫なのだそうだが、その実についてはよく分かっていないことが多いのだともいう。
 実は、かなり専門的な説明が続く。ご自分では著者たちは、難しくない、と判断をするであろうが、これが素人には、理解しづない。尤も、説明にはやさしい言葉を使うように気を遣っていてくれる。だからまた、安心して読める。イラストもいい。
 最後には、クラゲの様々なフィールドワークの実際が説明されており、青年も少年も、その説明に首を突っ込みたくなるような気がどうしてもする。理屈は少々難しいところもあるが、話しぶりは実に楽しいのだ。
 美しい写真もあるが、それはむしろわずかである、と考えたほうがいい。クラゲの単なる図鑑ではなくて、これはクラゲの学術的な説明、クラゲの謎を解き明かすことに目を向けたかったというふうに捉えてみたい。必然、若干説明が難しくなる場面もある。しかし読み進めば、多くの場合において、子どもが読んでも分かる部分が多いように努めて綴られた本であることが明らかになってくる。
 まったく、クラゲを見ていると心が和み、リラックスするものである。そのクラゲが、浮遊している状態で標本を作る方法があり、比較的簡単にできるという。この本には、そんなことまで案内してくれている。まさに、クラゲについての決定版のような本だ。




Takapan
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