本

『句読点、記号・符号活用辞典。』

ホンとの本

『句読点、記号・符号活用辞典。』
小学館辞典編集部編
小学館
\2310
2007.9

 原稿用紙の使い方は、学校で必ず学ぶ。たとえキーボードからの活字入力が花盛りの時代にあっても、基本は紙の上での原稿である。もちろん、まさにその活字を拾う時代の要請に基づくものもあるだろうが、私たちはそれに見慣れてしまっている。それに、原稿用紙自体が死滅したわけでもない。
 そのとき、しばしば迷うのは、記号の使い方である。文字はよい。だがたとえば「…」はマスのどこに幾つ分とるのか。これは、実ははっきりしている。ところが、ネット上あるいはパソコン入力の文書において、こうした記号がルール無用に使用されている現状もある。
 この辞典は、そうした記号についての統一的見解を提唱するものである。また、それはインターネットあるいはパソコンにおける記号の使い方という視点に立ち、コードのどこにあるのか、ということもすべて記録している。
 それでも、それだけであったら、辞典の意義はあまりない。この辞典が画期的なのは、その記号の本来的な使われ方も、このWeb時代において新しく取り入れられた使われ方も、それぞれ分かるように網羅されていることだ。
 だから、その記号は、パソコンの規格に基づいている。むやみに世の中にあるあらゆる記号を取り入れたのではない。その代わり、パソコンの中に入っている記号であるならば、それについてあらゆる角度から、簡潔ながら説明されている。記号の謂われにハッとさせられることもあった。私は個人的に「†」は、十字架をも示すが本来剣のことだと思っていた。だが、この辞典によると、それは逆で、十字架が本来なのだという。名前が「ダガー」で短剣の意味であるにも拘わらず、そうなのだという。ためになった。
 記号についての蘊蓄も得られよう。私はまた、「 」内での「。」の使い方についての説明が印象に残った。というのは、だいたい私が予想的に把握していた使用法やその理由についての理解が、殆どそのまま記述してあったからである。ああ、自分の理解でよかったのだ、と安心した。
 記号の本来的な使用法を学ぶこともできる。文字や漢字、言葉の意味といった角度からできた辞書ではない。記号論でも始めたくなるような、無味乾燥な辞典であるのだが、私たちが実際にこうした記号を使う立場である以上、実にユニークで厭きない内容をもつ辞典であると感じた。記号はこんなふうに使ってよいのだ、と勇気づけられるような気もする。
 眺めているだけでも、十分楽しい。きっと。




Takapan
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