本

『風のようによりそって』

ホンとの本

『風のようによりそって』
柴田久美子
佼成出版社
\1365
2006.7

 副題が「愛といのちの物語」。看取りの家「なごみの里」を経営する著者が、幾多の出会いと別れの中で見てきた様をヒントに、ひとつの物語として伝えようとした本。薄い本なので、読むのに難はない。
 著者は、経営の経験を積んだ後、老人介護に関心をもち、ヘルパーを実践して、施設の経営を始めたという。施設は高齢者の看取りの場でもあるのだが、物語は、自分の父親の死をイメージして描かれてあるので、高齢者の物語とは言えなくなっている。著者を知る人がすれば、専門の部門ではないように見えるのではないかと思うが、もしかするとここに本心ともいうべきものが詰まっていると言えるのかもしれない。
 元島根大学長の推薦文が長く掲載されているのは、故郷島根に戻ってNPO法人としてこの施設を経営する著者の故であろうが、同じ糸で響く言葉が、一編の詩のように綴られている。
 父親を看取る男の子の立場から描かれたこの物語が心を揺すぶるのは、著者自身の体験がそのまま盛り込まれているからであろうし、いわば内面から見つめられている姿が真実のものであるからだろう。
 これを読むどの人の心にも、何かを響かせる力があるに違いない。
 なお、出版社の故だけでなく、著者自身も、仏教に帰依しているように見えたが、物語そのものには、それを強く感じさせる傾向はない。むしろ、「神さま」という言葉が一度現れ、「天国」という言葉が頻繁に登場している。確かに日常語からすれば「極楽」という用語は使いづらいものであるかもしれないが、適切であったかどうかは、微妙である。




Takapan
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