『鉄の物語』
カレン・フィッツジェラルド
竹内敬人監修・藤田千枝訳
大月書店
\1890
2006.10
化学の物語シリーズ。
日本語でも鉄人と呼ぶ言葉があるが、鉄は人類にとり非常に有用でつきあいの長い金属である。ただ、その精錬には工夫が必要とされ、たとえばイスラエルは、古来高い文明を築きながら、その技術をもっておらず、パレスチナの文明の力を借りるよりほかなかった一面をもっているという。
化学の観点から、子どもたちに分かりやすく鉄について説明する。実に分かりやすい。大人も読まなければ損だと思う。
とくに、スーパーマンのたとえを使って説明する全体的な脚色は、つい喜んでしまった。化学式に頼らず、鉄の性質をこんなにも楽しく説明できるというのは、説明の技術としても一流である。しかも最後には、文明への批判ないし反省といったものにまで到達している。
個人ではなかなか買えないタイプの本かもしれないので、学校の図書室にはぜひ常備してください。