本

『本を作る現場で』

ホンとの本

『本を作る現場で』
編集の学校・文章の学校編
雷鳥社
\1575
2006.8

 本が売れないことは分かっている。それでいて、書店に通う人や入り浸る人が、これまたただならぬ数でいるということも、知っている。電子社会の到来で、書籍が壊滅するという予想もあったが、その割には検討している。しかし、今後生き残る価値がどう扱われるのか、それはよく分からない。
 芸術的なセンスと、職人気質のこだわりとがあれば、良い本はできる。しかし、売れなければならないという経営感覚もまた、同等に必要なものとなる。世にあっと言わせ、ひとかどの地位を築いた本とその開発維持を司る編集人たちが、この本の各コーナーを形成している。
 本の編集という仕事を任された面々が、世の中を見つつ、よいものを作りたいという熱意を保持し、最後には祈るようにして本の未来を見送る図式の展開は、それだけで一つのストーリーを成していると感じた。
 話題の出版社や企画が念入りに取材され、これからの時代をも睨んでいる。編集部の仕事、選択基準などが、よく読めばよく現れている。よい本を作りたい、と願いつつも、どうしたら売れるか、売れる本を作成せよ、そういうイメージを大切にして、触手を伸ばさなければならない。
 何も本に限らない。ここには、ビジネスの世界で何が大切か、が描かれている。他業種の人も、開いてみるとよい。えてして、自分の仕事のためのヒントは、一件関係のない別の世界の物語から、与えられるものなのだ。




Takapan
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