本

『心に残るE話』

ホンとの本

『心に残るE話』
上林順一郎・山北宣久・春名康範
日本基督教団出版局
\1400+
2001.10.

 三人の牧師・教育者が、見開き2頁のメッセージを記し、テーマ毎に集めた本である。一つのテーマについて3つのメッセージが呈され、そのテーマというのが、「生まれる」「眠る」「笑う」といったものに始まり「祈る」「妬む」など心の中に潜り込み、「病む」「老いる」「死ぬ」といった段階を経て、最後は「愛する」で結ぶ。粋な編集である。すべての題を動詞にし、すべてが静止的でなく動的なエネルギーに満ちた活動であることを表そうとしたようだ。それは私たちの信仰生活がつねに生きて働いているということと重なるものであろう。
 Eというのが「良い」意味であることは説明を要しないであろう。軽い感じを伝えようとしたのであるが、中身は感動的なものばかりだ。決して軽薄なものではない。2頁であるから、5分間スピーチとして十分語れるものであろう。子どもを相手にしてもこの時間ならば使える。もちろん、大人に対してもこの短さは、いつでも語れる内容となっている。人生に出う様々な場面において、私たちが見過ごしてしまいそうなものにしっかりと目を留め、そこに神のはたらきを見る。その意味では、私たちの日常の中にこのようなものを感じていきたいという願いにも繋がってくる。どんな視点を必要としているのか、どうすれば神の心と近づけるのか、そんなことをじわじわと感じていきたい。
 だから、一気に読むのはもったいない。せいぜいこのテーマ一つくらいで一日は留め、何日も何日もかけてじっくり読んでいくとよいだろうと思う。
 言葉には勢いというものもあり、すべてが学問的に正しい言明としてなされているわけではない。よく言われる言い回し、ちょっと洒落た説得力のある言葉も交えられる。また、実際に出会った人のエピソードも加わると、胸にじんとくることもある。それぞれに味のある、確かに「良い話」である。心が洗われる気持ちにもなるだろう。それらはすべて、キリスト教の福音に由来している。はっきりそうと言われなくても、背景にそういう考え方がある。
 喜びはjoyであるとするが、Jesus(イエス)とOthers(他者)、そしてYoursel(あなた自身」の頭文字が合わさったもの、とするのは語源的には何の確証もないことに違いないのだが、私たちの救いとクリスチャンの交わりとを簡潔にこのように言われると、たいへん説得力がある。もちろん、これは海外ではよく持ち出されるこじつけであって、筆者たちの発案ではない。しかし、心に残る良い話としては、この3つの関わりの中に良さがあるということは、どうやら間違いのない基本のようだ。心に残る本のひとつであった。




Takapan
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