本

『まなぶっく図鑑 花』

ホンとの本

『まなぶっく図鑑 花』
前田栄作解説・平田信写真
メイツ出版
\1575
2008.6

 いつもと同じことを繰り返すことになる。子ども用の本であるが、子どもだけに独占させず、大人がぜひ手にとってほしい、と。振り仮名が振ってあり、記述も簡潔である。情報は記号を多用し、項目的に整理されて示している。しかしそれにも増して、必要な知識がコンパクトに、しかも実に分かりやすく説明されている。
 独特の用語については、最初に一覧解説がある。本の使い方も最初に掲げてあり、その説明そのものがまた分かりやすい。子ども用ならではである。花は、生育するおよその場所別に、花の色、あるいは咲く時期毎に調べられるようになっている。名前そのものを知らない状態で花を探すには、この方法がほぼベストである。もちろん、花の名での五十音も作られている。どういう形からでも、調べやすいのだ。
 本のタイトルには、実は頭に「知識をひろげる」という文字が見える。ほんとうによく広がりそうである。最後の「あとがき」で初めて著者の人間らしい姿が現れてくるのだが、もしそれがなくても、この図鑑そのもので、制作者の人柄が偲ばれるというものだ。
 毒の可能性のあるものはそのマークも目立つように付けられている。もうこれは、大人がぜひ読みたい本である。
 ひとつだけ、私個人からの難点を述べさせてもらってよいだろうか。それは、この本がA6版であることだ。つまり、携帯しにくいということだ。文庫までいけばベストだが、そこまでいかなくても、もう一ランク小さくしてもらえると、この本を携帯して、山道を歩いて散策に出やすい。もちろん、これはあくまでも私個人の事情である。小さくすれば文字を小さくしなければならず、子どもに苦しくなり、あるいはルビが打てなくなっていく。そういう意味での配慮であるから、これは文句を言う筋合いのものではないだろう。
 でも、惜しいな……。




Takapan
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