本

『知って楽しい 花火のえほん』

ホンとの本

『知って楽しい 花火のえほん』
冴木一馬
あすなろ書房
\1260
2008.7

 振り仮名が多くついているほど、子ども向けの本である。しかし、小学校低学年にはなかなか苦しい内容もある。
 私はいつも言うが、見た目は子ども用であるように見えても、大人が読むときっとためになる、という本は世にいくらでもある。この本もまた、その仲間である。
 多くの写真と、簡潔で的確な説明とで、実に花火のことがよく分かる。これは楽しい。
 この夏の花火シーズンを見越して出版されたのではないかと思うが、図書館に入るのは秋口だ。書店に並ぶのは早いかもしれないが、こうした図書館に入るときに、シーズンがずれてしまうのが、いつももったいないと思う。
 打ち上げ花火の作り方からその打ち上げ方、美しい形にするための火薬の詰め方が紹介されていく。しかけ花火やスターマインの仕組みが、写真と適切なイラストによって、見てすぐに分かるようにも伝えられる。
 さらに、花火の歴史も説かれ、さらにふだん私たちが花火について疑問に思うようなことがあんだんに盛り込まれていて、実に楽しい。
 花火については、さしあたりこの本に書かれてあることを知っていたとしたら、大した通であろう。また、視覚的にも説明されるものだから、これがまた頭にずんずん入り、残るのである。
 玩具花火についても、「手持ち花火」はまだしも、「長手牡丹」や「スボ手牡丹」といった線香花火の名前がそうそう一般的であるとは思えず、紹介してあるとどんどん物知りになっていく。
 子ども向けの本でもあるし、花火遊びのルールもきちんと記されているところがいい。当たり前と思われることも、子どもたちは案外知らないし、気づかない。
 本当に楽しい。いい本だ。




Takapan
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