本

『大腸がんが心配な人が読む本』

ホンとの本

『大腸がんが心配な人が読む本』
渡邊昌彦監修
小学館
\1260
2007.12

 早わかり健康ガイド。単純な名前のシリーズである。構成も、見開きに1項目という、分かりやすさや見やすさを心がけて作られているように感じる。ほかにも、血圧や膝、動悸や血糖値といった、気になる症状について、同様のガイドブックがあるらしい。その方面に不安を抱える人にとっては、思わず手に取りやすい仕掛けである。
 そういうわけで、私も手に取った。
 まるでプレゼンテーションをしているパワーポイントのように、印象に残りやすい提示の仕方も工夫されている。いまどきは、このような示し方が、内容を伝えるのに向いているらしい。たしかに、活字の羅列がいつ終わるともなく続いていると、読む気も失せるし、どこが大切なのか分からない、というのも肯けるような気がする。
 さて、内容のことだが、自分で体験したことのない部分もあるし、ある部分もあるということで、ちょうどよいバランスの中で読むことができた。深刻ではないにしろ、関わりがある、という、読者設定としてもなかなかよい立場にいるのかもしれないからである。
 分かりやすい。ほんとうに、「早わかり」と言えそうだ。明確に言い切っているところもあるし、分からないところも明確に「分からない」と言い切っているところがいい。妙に思わせぶりであったり、暗示的であったりすると、実のところどうなのか、と勘ぐりたくなるが、ここは極めて冷静に、現代医学の立場をはっきり示すことに徹しているので、私はひじょうに親切だと思った。
 治療や検査にかかる費用や術式の図解など、具体的に記されているので、読んだだけで私は大腸がんについて、全部分かったような気にさえなってきたのであった。
 健康情報は、世の中にいくらでもある。テレビもそういうのを流せば視聴率が取れることを知っている。他方、実験の偽装が発覚するなどして、何を信用してよいか分からないという不安も世の中に流れている。信頼のおける仕方で情報を伝えてくれるこうした企画は、実にありがたい。繊維質を多く摂れば大腸がんは予防できる、などといった知恵が、医学的に実証されていないことなど、誤解なく記されているのは何より新鮮であった。また、コーヒーに効果があることが分かったとしても、それを多量に摂取すれば、今度はほかに問題が起こるなど、実用的な観点を忘れないのも、よい配慮であった。
 さて、食生活の見直しを致しますか。




Takapan
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