本

『新版カラーイメージチャート』

ホンとの本

『新版カラーイメージチャート』
南雲治嘉
グラフィック社
\1500+
2016.1.

 色の見本帖はときどきある。これは今私の手許で見ることのできる、最新のものと言えそうなものだ。特色は、言葉によるイメージに沿う色が紹介されていることだ。ともすれば、色の紹介が先行する同種の本、あるいは、いろいろ組み合わせてみるものの、その中から自分の感覚に、あるいは必要に合うものを選べ、とするもの。
 そこへ行くと、今回はイメージ先行である。たとえば「充実した」といった、言葉による見出しが用意されている。そこにあるのは一色ではない。細かく言えば、16色が用意されている。なるほど、集められた色は色相において何か通じるものがある。果たしてそれが「充実した」に相応しいかどうか、それはまたデザイナー次第ということになるのだろうが、なぜそれが「充実した」と言えるのかという理由は、それなりに説明されている。これは、どうやら世界標準の選択であるらしい。文化により様々違う捉え方もあるだろうが、これを以て「充実した」ものだと捉えて然るべきものらしい。深みのある色合いである。また、これらのうちの三色だけをそろえるとどういったムードになるか、4種紹介してある。4色を配色するとどうか、も4種ある。たぶん、ここを真っ先に見ると、いちばんインスピレーションが働きそうな気がするのだが、どうお感じになるだろうか。
 もちろん、これらの色は、デジタルで選択するときにどうすればよいか、CMYKの印刷指定と、CG用のRGB指定がなされている。紙面への印刷とそれらが同一といえるかどうかはさておいて、やはりこうした配慮は実用的そのものであろう。
 イメージは実にさまざまである。「ひなびた」といった、さて若い人たちに通じるかどうか分からない言葉のものもある。
 こうして見てくると、この本は、色の名前こそ全く触れてこないのだが、その色が伝えるイメージについての、日本語の辞典のようにもなっていると言えるかもしれない。同時に英語も掲載されているので、英語のニュアンスも身につけることができるかもしれない。色というものについて教えてくれるのはもちろんであるが、私たちの言葉感覚についても挑戦してくるものがある。自分はその言葉ではその色の組み合わせなど考えないけれど、と思う人がいても構わない。また、もしかすると、その人がその言葉の意味を誤って理解している、という可能性さえ出てきそうで、こうした色や言葉との出会いから、いろいろなドラマが生まれそうな気もしてきた。
 ちなみに私は、「楽観的な」「気楽な」あたりの色合いが気に入った。これは、私が楽観的であるという意味では決してないと思うのだが、案外、深層心理のようなところを物語っているのだろうか。それならそれで、新たな自分と出会えるのだろうか、と楽しみになれる本となるだろう。




Takapan
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