本

『色の名前507』

ホンとの本

『色の名前507』
福田邦夫
主婦の友社
\2625
2006.7

 優雅な本である。1頁が上下二段に分かれており、本の外側半分が色の見本、内側半分が色の名前と由来その他の蘊蓄に役立ちそうなことが書いてある。本の最初から最後まで、この形式が守られている。
 冒頭の、色彩についての基礎知識だけでも、読み応えがある。中学の美術の色の学習を少し詳しくしたような内容から始まり、次に色をあらわす「言葉」についての考察と紹介が始まる。それぞれ、簡潔でありながら、専門的で詳細なガイドとなっている。
 あでやかな本である。雅な心が芽生えてくるような気がする。古今東西さまざまな色の言葉が、ここに集結しているかのようだ。しかも、剃刀のように切れ味の鋭い叙述である。どの頁からどのように開いても、楽しめる。
 しかしながら、これを印刷で出すというのは、並大抵の苦労ではなかったと推測する。印刷技術との戦いでもある。インクの割合も、すべての色に添えて記録されている。それでも、印刷環境などによっては、思ったとおりの配合であるのかどうかなど、チェックが実に大変だったはずである。ほんの数色を使うだけの商業印刷でも、この色の出具合については、実にうるさく指示し、また工夫して試みるものなのである。いやはや、507色などというのであるから、実に……。
 こういう本が、心を豊かにするのではないか、とも思う。




Takapan
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