本

『平田紀子のちょっと嬉しい伴奏が弾きたい』

ホンとの本

『平田紀子のちょっと嬉しい伴奏が弾きたい』
平田紀子
音楽之友社
\1890
2006.9

 私はピアノが弾けない。弾ける人を羨ましく思うし、生涯弾けないかと思うと、悔しく思う。
 でも、ピアノはいい。だから、作曲をするときにも、弾けないはずのピアノの音をうんと利かせて鳴らす。ただ、自分で弾くのではないから、実際には運指が無理な音を鳴らせていることだろう、と思うことがある。パソコンが鳴らすのだから、そこは我慢してもらうことにしている。
 著者は、音楽療法をメインに置いている。お年寄りに歌ってもらって元気になる、ということもあるようだ。となると、懐メロや演歌というのも当然入ってくる。それらを、元の歌や伴奏を知り尽くした上で、いわゆるオカズとなるフレーズを入れるなどして、喜ばせてあげなければならなくなる。
 そう、この本はやはり「伴奏」の本なのであった。楽しく、それらしく伴奏をするテクニックが紹介してある。音楽の様々なジャンルについて、いわばお決まりのフレーズなどを短く載せて、十分実用可能なふうに紹介してある。
 堅苦しくなく、くだけすぎてもいない、適切な楽しさを備えた本であると感じた。
 基本は、右手でメロディを含んだ音を拾う、メロディガイド奏法でまとめてある。易しそうに聞こえるかもしれないが、弾くほうは決して楽ではない。伴奏という、地味だが実に熟練した技術が必要とされる仕事に勤しむピアニストもまた、尊敬の的である。人生でも、そのような陰に隠れた花たる方々が、たくさんいるのである。




Takapan
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