本

『タージ・マハールで数学しよう』

ホンとの本

『タージ・マハールで数学しよう』
仲田紀夫
黎明書房
\2100
2006.9

 数学や算数の読み物に関しては尊敬を集める著者である。今回は、的をインドに絞ってつくられた。インドの歴史から、タイトルにも使われたタージ・マハールの背景などをちりばめて、読み物として面白いものに仕上がっている。
 肝腎の数学についてはどうだろうか。
 対話形式を主として進み、親しみやすくなる反面、説明がどこか表面的になっていくことは避けられない。また、ストーリーを展開するために、どうしても無駄な動きが入ってきてしまう。
 好みにもよるだろうが、対話形式は、著者との対峙を意識させないようにしているという点で、やはりどこか安易な手法のような印象を私はもっている。それは、この本でどうかという意味ではない。
 さて、この本は、読者層をどのように考えて書かれているだろうか。対話の気軽さなどからして、中学生や高校生を想定しているのではないかと思われる。方程式の実例が挙げられている点からも、それが推測される。それにしては、振り仮名という発想はないようで、小学生というのは、低すぎる範疇となりそうである。いやはや、その方程式を想定すると、文章題の栄えたインドにちなみ、いくつかの文章問題が提供されてくる。この問題が、手強い。だらだらと喋られても、よく分からないことが懸念される場合がありそうである。
 しかし、そうしたちょっとした問題を題材にして、読者をひきこむのはさすがである。多くの知識がちりばめてある。ただ、数学が苦手な人をどれだけひきこむかという点では、一歩引くものがあるかもしれない。
 中学校の図書館に置くに相応しい本であるかもしれない。




Takapan
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