本

『日本人のしきたり』

ホンとの本

『日本人のしきたり』
飯倉晴武編著
青春出版社
\700
2003.1

 本物と偽物とを両方知ることが、結局本物が分かるということになる。どちらか一方しか知らないと、騙されていっても、それがすり替えられているということに気がつかない。
 日本人としての誇りをもてとか、日本の伝統を重んぜよとか、偉い人が口を合わせて言う。それでよく尋ねてみると、要するに明治時代に始まったことを日本の伝統だとして子どもたちに押しつけようとしていることが分かった、というふうなこともある。
 いったい、日本人である私たちは、人生をどのような言葉で送ってきたのだろうか。また、それは何に由来するのだろうか。つまり、どんな背景がそこにあって、行っているのだろうか。
 詳しく述べればきりがないようなことを、1項目を新書1頁ほどにまとめて、次々と話題を提供していくというのが、この本である。
 日本人の信仰を序章として、正月のしきたり、年中行事、結婚や出産、祝い事から贈答、手紙について触れ、葬式に終わり、さらに縁起ものについて語る。まんべんなく扱われて、日本人の一生が見えてくるような感じがする。
 しかし、このようなしきたりに従わないどころか、しきたりの存在そのものを知らない者が多くなってしまったし、今後もそれは加速することが予測される。絶滅も近い。本物を伝えるということについても、吝かであって戴きたくない。
 もとより、それらは、キリスト教からすれば無縁のことであるばかりか、従えない信仰に基づいていることが実に多い。しかし、見えないものに目を注ぐ心には、同じようなはたらきをもつ聖書の信仰も、見えてくる可能性が高い。
 この手のものには分厚いものがよくあるだけに、この薄手の新書版というのは、便利であること間違いない。無駄のない叙述は、率直に学びたいところである。




Takapan
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