本

『日本のルールは間違いだらけ』

ホンとの本

『日本のルールは間違いだらけ』
たくきよしみつ
講談社現代新書2017
\777
2009.10

 デジタル写真などの方面に詳しいライターだそうである。この本、過激である。お子さまは遠慮したほうがいいような気がする。
 それはともかく、視点はユニークだし、実に全うなことを述べている。誰も言わないことを言っている、としたほうがよいだろうか。私は好きだ。
 まず、論点が分かりやすい。「はじめに」という、まさに初めに、この本で取り扱う、ルールのくだらなさを五つの要因にまとめて紹介している。@そもそもそんなルールは必要がない Aルールに明らかに間違い(バグ)があり、使いものにならない Bルール制定時に将来を見通せなかったために、現代では通用しなくなった Cルールそのもの、あるいはルールの解釈が曖昧で、まともに運用できていない Dルールの目的や成立過程に悪意や作為があり、公正・公平でない というものである。以下、これらの解明を平易な例により、しかも私から見ればかなり執拗に、暴露していく。
 全部挙げるわけにはゆかないが、やはり最初の、JIS漢字の1%にも上る「存在しない」漢字の話から、笑わせてくれる。いや、著者からは笑ってはいけないとお叱りを受けるかもしれないが、「やまいちおんな」という幽霊については、まことに怖いに尽きる。試しにここに出してみるが、「妛」……あっ、出た。これが、完全に幽霊の文字なのだそうだ。そう言えばどこかで聞いたことがあるような。
 そして、お子さまに問題というのは、性風俗のお話。これが少々長く続く。執拗に続くその表現が、かなりきわどい。それから、選挙の当選の決め方についての矛盾というか奇妙で意図的なところについては、実例を細かく、これまた執拗に追いかけていく。共産党が随分と自民党を助けているという点に多くが割かれているが、とにかく選挙制度というのは制度を決める権力にとって有利にできているのはもう当たり前のことで、なんとか知恵を絞り自分に有利にしていことういう涙ぐましい努力が、その小うるさい制度に満ち溢れている。単純に、票の多いほうが当選、などという素朴な世界では、もうありえないのである。
 細かく見ていくと、本当にそうなのかと文句を言う人もいるだろう。だが、それらも一つ一つ検証していくだけの価値のある、私に言わせれば全うな事実ばかりである。そこに意味や思い入れを読み込み、利害のために適用しようとするときに、どうしても感情が入り、優れた頭脳は自利のために制度をつくろうとする。あるいは、解釈しようとする。
 そこで、私は著者の思惑を超えて、もう一つ根本的なところを挙げてみたい。日本には「法」は「方便」である、と。
 そもそも「原則」とは、変化することがなく例外が存在しないからこそ原則なのであるが、日本語では、必ず例外が存在する場合にしかこの語を使わない。法というのは、原則に従う法則のことである。西欧語ではそういう語を用いている。必ず例外が存在する原則の基に成立するのが「法」なのであるから、それを作成する、あるいは適用する者にとって、「方便」として用いられるのは当然である。すでに「法」の概念からして、著者が想定しているイデア的な「ルール」の範疇にないのが日本語なのである。
 だから、この本に挙げられていることは、このような原理から導かれる必然的な帰結なのである……如何だろうか。




Takapan
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