本

『よくわかる! グラウンド・ゴルフ 基本』

ホンとの本

『よくわかる! グラウンド・ゴルフ 基本』
朝井正教
ベースボール・マガジン社
\1575
2011.4.

 こういうスポーツの存在自体、寡聞にして知らなかったのだが、義父が退職後これを始めたということで、気にはなっていた。ただ、自分で直接しないものについて、ことさらに調べようという気持ちも起こらないものだった。それが、図書館にこの入門書があれば、そして表紙になかなかの美女がグラウンド・ゴルフをしている写真があるとなれば、つい手が伸びてしまう。
 驚いたのは、著者が、そもそもこのグラウンド・ゴルフを考案した一人であるのだということだった。それならば、内容も確かだろう。いわば自分の発案を広めようとする本である。心のこもったものにならないはずがない。分かりやすくないはずがない。
 案の定、そうだった。内容として、実に分かりやすく、丁寧な、そして何よりもグラウンド・ゴルフを愛している姿がひしひしと感じられる本であった。ほんとうに、一読してよく分かった。実際に経験のある人であれば、さらによく分かるだろう。いや、もうそんなことは知っているよ、というものばかりかもしれない。だが、細かなルールや底流にある精神などは、ふだんしている人がつねに十分知られているかどうかは分からないように感じる。
 特に、生涯学習のひとつとしてこのグラウンド・ゴルフを捉えていくという壮大な位置づけについては、まさに考案者の願うところそのものであろう。単にルールやテクニックを教えるというだけの本ではなく、大きな教育的観点、しかも年齢に制限されにくい全国民的な視野でのスポーツの可能性をここに実現しているという自負あるいは期待のようなものも溢れている。
 紳士的な取り扱いについてもよく説明されている。こうした、スピリットというものは、意外と最も大切なのだ。ドラッカーではないが、「使命」というものがぼやけたあり方をしたものは、存在価値がないとまで言われそうだ。ほんとうに、使命と、人を活かすことと、社会貢献を満たすものとあれば、まさにドラッカー的であるのかもしれない。
 ところで、本のタイトルは、落ち着いて考えれば面白い。「よくわかる!」というのは、参考書によく付してあるような文句だ。しかも「基本」ときている。この本は、グラウンド・ゴルフの高度なテクニックについては細かく書かれているわけではない。その精神とルールが詳しく記されている。あとは、実際にやってみて楽しんでもらいたい、というふうでもある。
 義父は地域で幾度か優勝もしている。そうなると、きっとますます楽しくなるだろう。しかしその様子が想像できるようになっただけでも、この本はありがたかった。お年寄りにはゲートボール、などとも思われているかもしれないが、グラウンド・ゴルフ、なかなかいいではないか。




Takapan
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