本

『英文法の核心』

ホンとの本

『英文法の核心』
山崎紀美子
ちくま新書114
\693
1997.6

 新刊を中心とした「ホンとの本」からすれば、ひどく古い本を取り上げてしまうことを恐縮する。
 なにせ、塾で英語を教えることになって、戸惑ってばかりもいられないわけで、一から英語を勉強し直すことになってしまった。自分で多少読めるということと、教えるということとは、天地ほどの開きがある。理解させる要領もさることながら、どうすれば生徒の成績が上がるのか、どういう説明が正しいのか、まったく分からないと言ってもよいくらいだ。
 そこでちらほら探した本のうちの一つがこれである。いや、実に画期的な本で驚いている。時制として未来は英語にはないのだ、という強い主張は、どんな意味なのかと興味深く追っていったが、実に理路整然としていて、説得力のあることなのだ。いきなり中学生にそのようなことを押しつけるのもどうかと思うが、説明の一端に入れて、中学生の混乱する頭の中を整理することには、十分役立ちそうである。
 一学期のことだが、急に英語の面倒をみてくれと言われて、それこそ戸惑いの極致であったのだが、そのときに、例文として、学校英語からすれば不自然な英文を生徒にノートさせてしまった。後で、中学の問題としては、そのような例文は登場しないことを改めて知り、しまったと思ったのだが、この本によると、私の例文は自然な英語であり、むしろ学校英語のほうがおかしい、という批判が述べられていたのを見て、とびきり間違っていたわけではなかった、と安心した次第である。
 時制の問題、とくにその過去の一部としての仮定法という位置づけや、助動詞のもつ感情ということは、私が漠然と感じていた感覚と一致する。その意味で、理解しやすかったし、私自身の理解が間違っていたのではなかった、という気持ちは、悪いものではなかった。
 だが、学校英語では、それを真っ向から教えるわけにはゆかない。いやはや、受験英語とは、何なのであろうか。




Takapan
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