本

『中学生 中間・期末テストの勉強法』

ホンとの本

『中学生 中間・期末テストの勉強法』
高濱正伸・大塚剛史
実務教育出版
\1400+
2014.9.

 勉強とは、自分で問題解決のために動くことができるように訓練することだ。
 人から習いまくって、勉強方法を会得するというのは、まやかしのような気がする。それは効率的かもしれない。失敗が少ないかもしれない。しかし、自分で身につけていくというのは、何よりもその人の財産になる。近年スポーツにしても、専らクラブチームに属するのでないとモノにならなくなってきているが、もっとのびのび遊んでいたり親の仕事を手伝ったりしていた子が、能力を発揮していくようなスポーツの世界があってもいい。懐古主義だと嗤われるかもしれないが。
 勉強も、こんな「勉強法」の本があるのは、反則だ。けしからん。中学生にもなって、それなりに自分でやっていかないで、どうするのだ。
 そんな頑固親父がいてもいいのではないか、と私は思った。それくらい、この本はよくできている。今の中学生に、手にとってもらえる内容となっている。難しいことや正統的な理論が説教臭く書いてあっても、中学生は読まない。そもそも、その読解力や根気のようなものさえも、失せている場合が多いのである。友だちとのネット関係のつながりか、マンガ、せいぜいラノベにしか手が動かないとなると、正統的な学習法の本など、見向きもしない。
 そこへいくと、この本はマンガをうまく取り入れ、しかもそれはヘタウマ的な、嫌味のないマンガタッチで笑わせる。しかも、内容は、実のところ中学生たちが本当は気にしている事柄である。
 その内容をここで明らかにするのは商売妨害となろう。中学二年生あたりをターゲットしているが、もちろん一年生でもいい。切羽詰まった受験生でも、役立つことはふんだんに載っている。ともかく、どうやって学習すればよいのか、そのノウハウが一杯なのだ。しかも、何人かのタイプ別の中学生のやり方を比較しながら、どれが一番いいかを決めるのではなく、どれかのタイプに近い人が親近感を覚えるようにも工夫している。どれも、中学生が多かれ少なかれもつような悩みを抱えているモデルである。これもまた、うまいと言わざるをえない。
 五教科の詳しい指導法は、著者たちがこれまで培ってきた様々な教育論を反映しており、内容的に申し分ない。それも、具体的に、何をどうノートすればよいのか、何を繰り返しやるのか、その意義付けまで行い、さらに将来自分にどう役立つかという視点も踏まえて、さながら人生相談の様相を呈している。つまり、何かしら真面目に考えてみたいと思う気持ちがある中学生には、どこかしか引っかかる部分をばらまいている本なのである。つまりは、巧い、というわけである。
 中間・期末テストのためということだから、なんと実技教科を勉強する意味までもきちんと記されている。
 思えば、私たちのころには、中学生が共通して読むような、中学生の学習法をリードする雑誌があった。価値観の多様化か何か知らないが、今はそれが絶滅してしまった。共通項がなくなった代わりに、勉強法やその基準を知らずに路頭に迷う中学生が増えているような気がする。そう、私たちもまた、勉強法というものを、その雑誌から学んだのだ。そして私は、その要領を得て、「うまいこと」やってきた。頭がいいとか優秀だとかいうことではなく、どうすればうまくいくのか、方法論的に自分ができていたのだ。その雑誌の提言をそのまま受け容れて、実行してみただけのことである。
 ならば、現代的に、頼れる学習法指導とは何であろう。通信添削も有効だとは思うが、問題はサービスしてくれるが、ノウハウの点では出し惜しみしているのではないかと思われる。つまり、自分で学習できる方法を教えてしまうと、通信添削を利用しなくなる虞があるからである。そこへいくと、この本は、中学生が自分で買うには少々高いと感じるかもしれないが、そう暴利を貪るような価格ではない一冊の本、それも最近の参考書を一冊買うよりはきっと安いであろう価格で買える本によって、自分で何をすればよいかたぶん分かるようになるのである。これはしめたものである。
 この種の本は少しずつ出ているが、先に挙げたように、そもそもしの方法論を読んで理解するまでのハードルが高いものが殆どである。本書は、無理なく入っていける。しかも、まえがきに面白いことが書いてある。読むのが面倒だったら、最初はマンガだけどんどん読んでください、と。そこだけの「つかみ」があれば、たぶんかなり有効になっていくノウハウをちゃんと伝えたことになるだろう。その辺りの匙加減も、実に巧い。心憎い本である。
 勉強って、どうやってよいか分からない、という悩みのある中学生には、一度開いてみてもらう価値のある本ではないか。
 そして、大人としても思う。大人もまた、何かを学習し始めることがあるが、大いに参考になることがここに提示されていると見てもよいのではないか。こうやって勉強というものをすればよいのだ、と目から鱗が落ちるような思いがするかもしれない。著者自身、勉強ができなくて悩んだことがあるらしく、そういう視点からだからこそ、説得力のある、学習法の提言ができたのかもしれない。やはり、巧い。




Takapan
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